事業承継インタビュー(株式会社プランテック 元代表取締役 三澤 博 氏)

事業継承
譲渡企業:株式会社プランテック設立:1990年業務内容:音楽関連コンテンツ制作HP:https://plantech.hotexpress.co.jp/

大切な事業と従業員を託す承継先をどのように選んだか―「決め手は、人。」

当社が譲り受けた株式会社プランテックは1990年の設立以降、独自のビジネスモデルによるデータの計測と解析によって、日本の音楽業界を支えてきました。

博氏は、奥様のナヲミ氏が大切に育ててきた同社の社長を引き継ぎ、後継者不在の解決の一手として、2025年末に日本事業承継トラスト株式会社への事業承継を行いました。

今回、事業承継を決断された博氏へお話を伺いました。

三澤博 氏

プロフィール

もともとは建築業界でPC構造の設計を行っていた三澤博氏。相模原の高層マンションの建築にも数多く貢献。奥様のご逝去を機に、代表取締役に就任。事業承継は10年以上前からの課題であったが、2025年に縁あって当社へ事業承継し、ご勇退。

1.プランテックという会社について教えてください

プランテックは東京都内に拠点を置くソフトウェア会社の事業を引き継ぎ、妻のナヲミが始めた会社です。しかし、いざ事業を始めてみると、引き継いだ設備は老朽化し、人材も数はいましたが、売上には結びついていない。事業の土台は決して強いものではありませんでした。

しかしながら、妻の根性は人一倍でした。営業で1日に20件近く回りながら、必死に顧客をつなぎ、会社を守り続けてきました。私もそれを支えようと決意し、身銭を削りながら投資期間を乗り越え、今となっては音楽業界にとって欠かせない、独自のノウハウで正確で新鮮なデータを迅速に計測、解析する仕組みを構築することができました。

2.事業を守るための12年

三澤夫妻

この会社を私が引き継ぐ前に支えていたのは、亡くなった妻でした。私は長く建築の仕事をしながら、主に資金面で裏方として支えてきましたが、実際に妻が亡くなって会社の中に入ってみると、人材の流動性、業界の不安定さなど、自分が経験してきたものとは大きく異なる現実に直面し、驚きの連続でした。

それでも、音楽業界というのは本当にエネルギーに満ちた世界です。昨日まで知られていなかったアーティストのヒットが一気に市場を動かす。若い人が多く、実力重視やスピード感がある業界。その環境の中で、プランテックの事業は確かに必要とされていました。

現場のことがわからないながらも、妻が守ってきた会社と従業員を、なんとか守ろうと今日までやってきました。

3.事業承継を考え始めたきっかけと後継者探しの選択肢

妻が亡くなったあと、私はこの会社の将来をどうするべきか、より一層真剣に考えるようになりました。娘もいましたが、会社経営に強い関心があるわけではありませんでした。

「この会社をどう残すか」

それは単に自分だけの問題ではなく、社員とその家族、取引先、音楽業界の一部としての会社の存在をどう守るかという問いでした。

M&Aという選択肢もその中で自然と視野に入り、大手仲介会社のセミナーに足を運んだり、知人を介して提携の可能性を探ったりもしました。さまざまな人と会いましたが、「会社の人間、延いては身近な人を大事にしてくれる相手かどうか」という点は、常に自分の中で最優先でした。

4.日本事業承継トラストを選んだ決め手

交渉が何度も進みかけては止まる、ということを繰り返す中、3度目の挑戦で日本事業承継トラストさんと出会いました。

エンターテインメントとマーケティングに精通しており、社長もまだまだ若く、力強いエネルギーを感じました。投資目的で当社の事業承継を検討してくれる方は今まで多数いましたが、事業としての可能性をきちんと見てくれる企業でした。

また、企業は結局のところ、人です。

お会いしてみて、何より「この人は任せられる人だ」と自然に思えたことが大きかった。

一人で会社はできません。だからこそ、信頼できる相手かどうかが何より重要でした。

企業経営の経験もあり、原価管理などの数字面にも強く、営業もできること、そして、会社を存続させるエネルギーがあること。この会社なら託せると感じました。

お会いした日にまさかシェイクハンズすることになるとは、自分でも思ってもいなかったですよ(笑)

対話

5.M&Aという選択肢を振り返って

会社経営もそうですが、正直に言えば、事業承継は綺麗ごとだけではありません。思惑通りにいくことの方が少ないのではないでしょうか。

それでも、M&Aという形で会社を次につなげられたこと自体が、経営判断としては良かったと感じています。

会社を存続させたい、従業員の待遇もいつか良くしてあげたい、その思いを引き継いでくれる可能性が見えたことが、何よりでした。

6.従業員の反応

従業員に伝えたときは、やはり驚きはあったと思います。ただ、どこかで「いつかはそうなる」という覚悟を持っていた人も多かったのではないでしょうか。代表交代初日に新社長が「働き方や雇用は変わらない」と全従業員の前で宣言したこともあってか、大きな反発もなく、皆が受け入れてくれたように思います。

また、今回は承継前に相談できる方がいたのも心強かった。経理を担当してくれている奥田さんのような方がいてくれたからこそ、伝え方やタイミングも考えることができました。

3人で団らん

7.これからのプランテックに託すもの

プランテックには、音楽業界のヒットを支えてきた確かな価値があります。

正確で新鮮なデータを届ける。顧客の音楽ビジネスに貢献する。その点に集中してきたことは、他にはない強みです。

これからは、新しい経営者のもとで、収益性も高め、社員にきちんと還元できる会社になってほしい、そして何より、この会社が長く存続し発展していってほしいと願っています。

8.これから事業承継を考える方へ

事業承継は、思った通りに進むものではありません。当時から私も苦労するだろうと思っていましたが、想像以上に時間を要し、結果的には10年以上の月日が経ってしまいました。

しかし、先々のことを想像して備えておくこともできました。

「すこしでも検討は早めに」、そして「誰を幸せにしたいのか」という視点で選択してほしいと思います。

従業員、取引先、そして会社そのもの。

みんなを幸せにする選択肢を取ることが、経営者として一番大切なことではないでしょうか。

日本事業承継トラストについて

日本事業承継トラストは、後継者不在という社会課題に向き合い、お譲受けした企業を「売らずに、価値を守り、次世代へつなぐ」事業承継を行う会社です。

株式の恒久保有を前提に、AIとマーケティングの知見を活かした経営支援を通じて、承継後の企業価値を中長期で守ります。

未来へつなぎたいノウハウやブランド資産がある。けれど後継者が見つからない。

そんな想いをお持ちの経営者の方は、まずは情報交換からでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。